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2018/09/15 06:11
このカレンダーは、どんなきっかけで生まれたのか。
今回も、日めくりカレンダーが誕生するきっかけについてお話します。
【お母さんたちも見守りたい、から始まった保育園】
前回のブログでは、開発責任者の宮村さんがカレンダーを開発するきっかけとなった、あるお母さんとの出会いのお話をしました。
今回は、カレンダーを開発する以前に取り組んでいた、地域のお母さんの「働き方」を考える取り組みについてお話します。
【お母さんたちも見守りたい、から始まった保育園】
宮村さんが経営するちゃのま保育園は、子供だけでなくお母さんたちも見守れる、地域の「茶の間」のような存在になることをテーマに始まりました。お母さんたちを見守るというのは、保護者にも寄り添える保育園という意味です。
もちろん寄り添うという言葉にも、いろんな意味があります。悩んでいるお母さんがいれば、親身になって話を聞いたり、プライベートな時間でも、街角で会えば子育ての悩みを共有したり。寄り添うためのアプローチは、さまざまでしょう。
そうした中で、保育園に通うお母さんにとって本当に良い状態は、究極のところ、「生き生きと働き続けられる」ことに集約されていくのではないかと思うんですね。この考え方については、今もしっかりとカレンダー開発に受け継がれています。
お母さんが生き生きと働き続けられる社会。その実現のために、周囲を取り巻く環境から変えたいというのが、宮村さんが保育園経営の傍ら、最初に取り組んだ活動でした。具体的には、パートか正社員か、どちらかしか選べない仕事環境を、子どもの体調に合わせたり、もっと自由な時間が持てる働き方に変えたいという思いでした。
そこで宮村さんは、まずは「地域で働ける場所を探し、お母さんとマッチングさせよう」という取り組みを始めました。働き場所の開拓先は、地域の町工場。多くのママにとって、仕事を続けることは、それまでのオフィス勤務を続けることを意味します。そして大半のオフィスは、住む地域から離れた、いわゆるオフィス街にありますよね。
つまりこの「通勤」の距離の壁によって、子どもと一緒にいられる時間が減り、結果的に一日の始まりがゆとりのないものになってゆくのです。一方、自宅の近くに安定した働き方ができる場所があれば、そうした距離や時間の壁が低くなりますよね。子どもの急な発熱にも、一度帰宅してすぐに戻れる。保育園の送り迎えも早くできるし、晩御飯の買い物も子どもと一緒に楽しめる。地域で安定した働き方ができることは、実はとても多くのメリットがあるのです。
しかしこの取り組みは、早々に挫折を迎えることになりました。海外に仕事を奪われ、ただでさえ経営が厳しい町工場には、たとえパートタイムでも、地域のお母さんを雇う余裕がなかったのです。しかもそうした状態が長く続いていたため、もし人手が欲しい状況だったとしても、モノづくりを知らない新人に効率よく仕事を教えるマニュアルや教育体制が、まるで整っていませんでした。
もちろん、働く側のお母さんの希望も無視できません。仕事のマッチングの難しさ、自分だけではどうにもできない状況の根深さ、さらには周囲の1~2名を仕事に結びつけることでは、事業としても成り立たず、社会的な影響にも限界があり、そうした経緯の積み重ねから、このマッチング事業は根底から見直さざるを得なくなりました。
そんな出来事の後、次に宮村さんが取り組んだのは、仕事の受け皿を作ることではなく、パートか正社員かで揺れる、働くお母さんの「意識」の幅を広げる活動でした。
長くなりましたので、続きは次回に。